
Oさんの家の愛犬K太郎くんは、もともと箕面の山に棄てられていたところをOさんに拾われた。今ではすっかりOさん家の子どもになったK太郎くんであるが、Oさんは時々そんなK太郎くんを山まで散歩に連れて行く。リードを放して思い切り遊ばせるためだ。

ある日、いつものように勝尾寺あたりでリードを放してもらったK太郎くんは、鹿の子どもをみつけて追っかけるうちに、Oさんからはぐれてしまった。暗くなるまでK太郎くんを探したOさんであるが、見つからず、あきらめていったん家に帰った。

ところがその夜、K太郎くんはなんと自力でOさんの家まで帰ってきたのだ。勝尾寺あたりから真っ暗な山道を下り、山麓線を越え、171を渡り、ちゃんと小野原の自宅まで帰ってきたという話は、なかなか涙を誘う話ではある。