
朝、いつものように店に着いて開店の準備をしている時、駐車場を挟んで東隣の食堂の奥さんが入ってこられた。あらたまった感じなので何かあったのかと思ったら「急なことですが、実は明日で店を閉めます」と言われる。

20年以上この土地で酒屋さんをして来られたが、安売りのリカーショップに押されて閉店、その後昼は食事処、夜は呑み処として5年間営業して来られた。「やっぱり水商売は素人にはムリでした」と言われる。

エスペーロ開店の時にごあいさつに行ったら、「チラシ置いときなさいよ。お客さんに宣伝してあげるから」と励ましてくださったり、開店後もカラオケ教室のお仲間をたくさん連れて店に来てくださったりと親切にしていただいた。私たちもコーヒーを飲みにいったりお昼を食べに行ったりしたのに、とても残念だ。

「どうぞお元気で」。「近くに住んでるからまた寄るわ」。やっと笑顔を見せて奥さんは帰られた。山麓線にまた空き店舗がひとつ増えることになる。そして閉まったところにはなかなか新しい店が入ってこない。さびしいし残念なことだ。でも残念がってばかりはいられない。なんとか知恵をしぼって踏ん張って、個人の店が生き残れるような山麓線にしていかなければと、やっと開店4ヶ月の新米店主は考えている。