
長坂寿久さんという、日本のフェアトレード学では第一人者の拓殖大学の先生が書かれている『世界と日本のフェアトレード市場』のあとがきの中に次のような文がある。
・・・まして、日本は、世界のフェアトレード市場の1.7%を占めるにすぎない。日本の経済力の大きさからみれば、この市場の小ささは驚きに値する。何故日本はこんなに「社会性」に関する消費力が小さいのかと嘆息することにもなる・・・
また、「ソーシャル(社会的)消費」という言葉の定義を次のように紹介している。
ソーシャル消費とは、世界の人々や次世代への悪影響をできるだけ軽減する消費スタイルであり、フェアトレードの商品の購入や企業の社会的責任(CSR)に熱心な企業の商品の選択など、微力でも、商品やサービスの購入を通して何らかの社会貢献をしたいという気持ちを表す消費スタイルである。
世界同時大不況の中にあっても、個人の欲望だけでなく他人の幸福を考えて商品を購入するという「ソーシャル消費」の概念を持つ人々は日本でも世界でも確実に増えているというのだが、まだ市場の大きさには反映されていないようだ。
長坂さんは最後にこう書いている。
「社会性」を取りいれた消費がいつ日本でも本格化するのか。そうなった時、日本人がほんとうに変わっていくということを認識でき、日本の改革が本格的に始まっていると思うことができる・・・これからのフェアトレード市場の動向が、日本の未来を知る最先端のバロメーターとなっていくと確信している。