阪大でアラビア語を専攻するYくんがバイト前に立ち寄ってくれて、しばし「エジプト革命」の話になった。折りしもYくんの友人がカイロ大学留学中で、現地情報をフェイスブックで知らせてくれるのだという。ムバラクを大統領の座から引き摺り下ろしたのも、フェイスブックなどソーシャルネットワークの力だった。
ピラミッドにスフィンクスなど古代エジプトの文化遺産で観光立国というのが一般的なエジプトのイメージだろうか。私は28年ぐらい前に3年ほどクウェートに住んだことがあるので、もう少しだけ近しい気持ちを持っているかもしれない。他の中東の国とちがって石油などの資源がない、アメリカの同盟国でイスラエルと仲がいいということも知っている。でも、これだけ多くの市民が不満を募らせていたとは、この動きが起こるまで知らなかった、というか気にもとめていなかった。
今エジプトは動いている。きょうの朝日新聞オピニオンの欄で、カイロ生まれのタレントのフィフィが言っている。「政府は貧困に対して無策だった。私たちは観光資源のおかげで何千年も前の人たちに食べさせてもらっているようなもの。でももうけていたのは政府だけで市民は貧乏だった。将来の夢がない貧しさはみじめだが、希望のある貧しさなら耐えられる・・・」
今エジプトの人たちは民主化へ向けてわくわくしているだろうか。利権をむさぼっていた人たちはどきどきしているのだろうか。世の中が変わる、いや世の中を変えるという歴史の転換点に立つのはどんなにかスリリングなことだろう。