エスペーロのお客さんも気心が知れてくるといろいろなお話をしてくださいます。
現在70代後半の女性Mさんは若い頃から看護師ひとすじ、後年は看護学校の教師として活躍された方です。家庭では長女として家族のめんどうを見ているうちに結婚の機をのがし独身を通されました。そのMさんが25歳の時のこと。
あるひとりの若い女性が初産で男の子を出産した後、感染症で亡くなりました。入院中から母親に代わって男の子の世話をしていたMさんは、母親が亡くなった後もこの子がかわいくて3ヶ月間お宅へ世話をしに通ったそうです。そして男の子のおばあさまに「この子を私の養子にください」とまで言ったそうです。もちろんMさんは独身です。そうすると、おばあさまは「あなたが家へくればいい」と言われたそうです。つまり後妻さんに入ってほしいということです。
その頃Mさんには心に決めた人がいましたので、後妻さんに入ることはお断りしました。しかし、結局家の都合で心に決めた人との話もなくなりましたので、今になって「あの時後妻に入っとったらよかったなあ」と冗談で笑うMさんです。
その後、男の子の家には新しい奥さんが来られました。Mさんに言わせると「とてもよくできた奥さん」だそうです。そして、男の子が18歳になった日に、Mさんはお宅に招待されました。おばあさまは男の子に向かって「この方が赤ん坊のおまえを育ててくれたんですよ」と話されたそうです。おばあさまがいかにMさんに感謝されていたかがわかりますね。
お話を聞いているうちに、私は何だかドラマを見ているような気になりました。




お話を聞いているうちに、私は何だかドラマを見ているような気になりました。