2月29日(水)『ふるさとをあきらめない』
2012/02/29(Wed) | お店日記 | page top↑
『ふるさとをあきらめない』 福島に和合亮一さんという詩人がいます。自身も震災の被災者ですが、直後からツイッターで震災後の福島を発信し続けました。言葉を紡ぐことだけが和合さんが孤独から脱出する寄る辺であったそうです。

ガソリンが手に入るようになると、和合さんは被災地を取材しながら詩を書き続けました。そして自ずと現地の人たちの話にも耳を傾けるようになり、その聞き書きをまとめたのがこの本です。

実はこの25人の証言の中に、私が先日いわきでお会いした志賀さんの証言が入っています。それで、まず私は志賀さんのページを読みました。いわき市豊間の浜で聞いた志賀さんの声が聞こえてくるようでした。そしてあの時と同じように感銘を受けました。

和合さんは「まえがき」の中で「一人一人の体験に裏打ちされた言葉は、そのどれもが真理であり、体ぐるみの強さがあった」と書いています。それはまったく、私が志賀さんに対して抱いた感想と重なります。

「ふるさとをあきらめない」。なんと悲しくも強い言葉でしょうか。私は今、他の24人の方々の証言を、心を静かにしてゆっくりと読み続けています。
2月25日(土)フェルト玉
2012/02/25(Sat) | お店日記 | page top↑
夕方遅く小学3年生ぐらいの女の子と幼稚園ぐらいの女の子さんを連れた若いお母さんが来られました。お友達へのプレゼントを選んでおられるようです。3人であれこれ会話しながら選んでいる様子が楽しそうでした。 
 
しばらくしてプレゼントが決まり、お母さんがレジへ持ってこられました。それフェルトボールとは別にお姉ちゃんの方が選んだ藍色のフェルト玉もひとつ持って来られました。お姉ちゃんはいろいろ迷って数ある色の中からこの色を選びました。「この色がいいそうです」とお母さん。「何にするのかな」という私に「さあ?」とお母さん。

私はこのお母さんはとてもいいと思いました。お姉ちゃんにゆっくりと選ばせてあげて、そのうえ私みたいに「何に使うの?」などと野暮な質問はしなかったからです。ひとつだけ好きな色を選んだお姉ちゃんは満足そうでした。何に使わなくてもお家の好きな場所に置いておくだけでもいいですよね。筆箱の中に入れてもいいし。

何年も前に、私は対照的なお母さんを見て苦い思いをしたことがありました。市立図書館でアルバイトをしていた時のことです。やはり小学3年生ぐらいの女の子が選んで持ってきた本を見て、そのお母さんは「こんなのあなたにはやさしすぎるでしょ。もっと字の多いのを持ってきなさい!」と言下に否定したのです。そ の子はこの本が気に入って持ってきたにちがいないのです。ストーリーが好きだったのかもしれないし絵が好きだったのかもしれないし、もしかしたら本の題名が好きだったのかもしれません。本を取替えに行く子どもを「かわいそう」と思いながらも、何も言ってあげなかったことを後で後悔しました。

自分の子育てはすっかり終わってしまいましたので、今は若い人たちの子育てを横から見ています。
2月24日(金)3月11日へ向けて
2012/02/24(Fri) | お店日記 | page top↑

3月11日 福島へお花を贈りませんか?

 

エスペーロ店主は先月福島県いわき市を訪れました。その時お会いした久之浜の北いわき再生発展プロジェクトさんが、3月11日に浜にお供えする追悼のお花を募っておられます。一周忌に何かしたいと思われている方がありましたら、どうぞこのプロジェクトにご協力ください。

 

店内に募金箱を置いています。ワンコイン(100円でも500円でも)を入れて頂ければ、合わせてお花を買い(福島県のお花屋さんに注文する予定です)久之浜へお届けいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
20120211久が浜津波の後

 

 

バナナのショール
2012/02/23(Thu) | 衣類 | page top↑
ピープルツリーの春夏商品が入荷しました。その中からきょうは「手紡ぎバナナ2wayショール」のご紹介ですバナナショール

フェアトレードの商品を生産している途上国はたいがい南の国にありますから、バナナが取れる国も多いです。バナナはそれだけでもちろんおいしいのですが、今バナナの果実以外(幹や根)を有効利用することも注目されています。 

ピープルツリーのバナナショールは、バナナ繊維を手紡ぎし三角形に手編みしたショールです。ショールとしてもベストとして も着られます。ところどころにお花やハートのモチーフもあってかわいらしい。バナナ繊維はとろ~りと柔らかく、着心地も抜群なのです。 (ネパールより指定外繊維(バナナ)100% ¥8,000)  

バナナ糸 バナナの糸もあります。手芸のお好きな方は糸からどうぞ。
(ネパール バナナ90% ライロン10% 茶・・・バナナの幹 白・・・バナナの根 1玉 約100g ¥1.050 )

以前、バナナペーパーのお話はしたことがあります。http://espero0osaka.blog118.fc2.com/blog-entry-448.html
紙としてもすぐれたアート性があり、古紙を混ぜれば印刷用として名刺やプリント用紙にもなります。エスペーロは次の名刺をバナナ50%の用紙で作る予定です。

こんなDVDもありますよ。『ミラクルバナナ』http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id323671/
ハイチ共和国へ転勤になった大使館派遣員の若い女性(小山田サユリ)が現地の貧困解決のひとつとしてバナナを原料とした紙づくりに奮闘する2006年製作の映画です。他に山本耕史や緒方拳(いい役者さんでしたね)も出演。エスペーロにありますのでご希望の方には貸出いたします。
2月21日(火)京都
2012/02/21(Tue) | お店日記 | page top↑
シサム工房 http://www.sisam.jp/ の展示会があって、京都へ行ってきました。シサム工房の事務所は京都大学農学部キャンパスの北側にあります。開店以来、展示会の度に何回か訪れました。いつも温かく迎えてくださる雰囲気がとても好きです。 チンパンジーピロー

今回は次の秋冬商品の展示会です。ニットのチュニックがとても素敵でした。ニット小物は色や柄がリニューアルして目新し く、人気のチンパンジーピローはミニチュア君ができていたり、ワンピースのゆったり感は相変わらず好もしく、約1時間ゆっくりと楽しませていただきました。楽しむだけならよいのですが、在庫と予算を考えながら厳選しなければいけないのがつらいところです。 (写真はチンパンジーピロー ¥1,890)

居心地の良い展示室で担当のIさんとチャイをいただいていたら、2年前のエスペーロ開店以来ずっとお世話になってきたIさんが「実は・・・」と。3月でシサムを退職されるのだそうです。「ええっ、残念」。でもおめでたいことにつながる決断らしいので私の長女と同世代のIさんの将来を祝福しました。 
 
9784990166373.jpgそのあと、この日はもうひとつ京都で目的がありました。友人が教えてくれたシンポジウムに参加することです。サティシュ・クマールさんというインド生まれイギリス在住の方の映画とご本人のお話を聴きました。マハトマ・ガンジーとシューマッハー(英の経済学者で『スモール・イズ・ビューティフル』の著者)の思想を受け継いで、平和とエコロジーの思想を伝えている方です。

私がサティシュさんを知ったのはこれが初めてでしたが、お話はとても示唆に富むものでした。サティシュさんは3Sという考えを提唱されていて、つまり土(soil)と心(soul)と社会(society)がバラバラでなくつながって初めて平和な世界が訪れるという考え方です。今私がここで簡単にご紹介できるようなものではないので、興味のある方はサティシュさんの著書や講演録を読んでみてくださいね。詳細は http://satish.sblo.jp/

ちなみに、このシンポジウムを企画したNGOナマケモノ倶楽部(通称「ナマクラ」というそうです) http://www.sloth.gr.jp/ は、スロービジネスのひとつとしてエクアドルのコーヒーをフェアトレードしています。
2月18日(土)きょうも寒い!
2012/02/18(Sat) | お店日記 | page top↑
朝、自転車で店まで行きますが、歩道の日陰の部分が凍っていて自転車を押して歩きました。屋根や植え込みには昨日からの雪が残っています。エスペーロは南向きなので大丈夫ですが、道路向かいのお店などは歩道の凍てつきを掻いておられました。

きょうもまた、時に雪が舞う寒い日でしたが、土曜日とあってたくさんの楽しいお客様がご来店くださいました。
ノクシカタトイレットペーパーホルダー鳥【フェアトレード★new】 ノクシカタのトイレットペーパーホルダー(人気商品です)とチョコレートを買ってくださった若いご夫婦、チェンマイのストリートチルドレンだった子たちが作るラリエットを「どの色にするか迷うわ~」と迷いながら2つ買ってくださった奥さん、「あ~ネパリの秋摘み紅茶売れちゃいましたね、また入れて下さいね」といつも土曜日に来てくださる方、「あした孫のところへ行くのよ」とオーガニックコットンのロンパースとTシャツをお求めのおばあちゃま、「ツイッター(たまにエスペーロもつぶやいていますカレーの壺3兄弟)でここのことを知ったんですよ、こんな近くにフェアトレードの店があることを知りませんでした」という初めての方、いつもルイボス・ティーを愛飲されている若いママ、「野菜を炒めておいてね、いろんな味付けをするんですよ。カレーもいいなあ」とカレーの壷を求められた、日頃から台所に立たれる風の熟年男性。

ケニアのHIV感染したママたちを支援している阪大学生団体、トゥマイニ・ニュンバーニ(スワヒリ語で「希望を我が家に」の意味)のNさんとMくんが久しぶりにのぞいてくれて、しばらく喋ったり笑ったり。Nさんは、帰省するからお母さんとお姉ちゃんにおみやげを。Mくんは来週からケニアに約1ヶ月行ってきます。今春から就職する会社でもケニア関係の仕事ができるかもしれない、というので張り切っています。ちょうどケニアのメルハーブ園からのジャムをお買上げのお客様がいらっしゃって「彼は来週からケニアですよ」と教えてあげると驚いておられました。

夕方Don Don Eigo Circle http://espero0osaka.blog118.fc2.com/blog-entry-255.html でいっしょのY子ちゃんご来店。次回英語クラスの話題提供者になっているY子ちゃんに「話題決めた?」と聞くと「マーチン・ルーサー・キング牧師の"I have a dream"にしようと思っています」。それで今このスピーチ暗誦にトライしているそうだ。昨年Don Don Eigo Circleに出会って以来、それこそ「どんどん」積極的に変化しているY子ちゃんはたのもしい。「じゃあ、いっしょに覚えようか」と軽はずみにも言ってしまった私。さびつく記憶力に鞭打つことにしましょう。

エスペーロには老若男女(でも9割は女性かな?)様々なお客様が来てくださいますが、とくに若者たちからはいつもフレッシュな刺激をもらいます。
2月16日(木)いわきアゲイン
2012/02/16(Thu) | お店日記 | page top↑
昨夜テレビからふと耳に「いわき」という言葉が飛び込んで来ました。見ると、NHKニュースの中で、いわき出身の酒井さんという方がパラグライダーから撮られたいわきの映像が流れていました。釘づけになって見ました。そこはまさに私たちが先週末訪れた豊間、薄磯、久ノ浜だったからです。そして今日、その映像をシャプラニールのNさんがツイッターにアップしてくださいました。↓です。

http://cgi2.nhk.or.jp/nw9/pickup/?date=120215_1

1ヵ月後はこんなんだったんだ。鈴木さんの家はどこかな、高木さんの諏訪神社はどこかな、と思わず探していました。今は「いわき」と聞こえるとすぐに反応してしまいます。

きょうの午前中はみのお市民活動センターの事務局長Sさんがエスペーロに来てくれて、しばしいわきの話になりました。Sさんは来週仙台を訪ねるそうです。センターで集まった義援金を仙台のNPOに届け、震災後の現地のNPO活動を視察してくるということです。

これから何年かかるかわからない東北の復興に、少しでも多くの人が細く長くつながっていけるといいなと思います。



2WAYバケットバッグ
2012/02/16(Thu) | 雑貨 | page top↑
山羊革バケットバッグ 第3世界ショップからやってくるインドの山羊革製品は、バッグ、財布、ペンケースなど、いずれも愛好者の多い人気商品です。

この写真のバッグは2WAYバケットバッグです。なぜ2WAYかと言いますと、持ち手が2WAY。二重にすれば真ん中のように短くなり、一重に長くすればななめがけもできます。

模様はハイビスカスで色は左から紫、赤、茶です。形はかわいいバケット型、つまりバケツ型で底が楕円形になっています。

お値段も3,045円と革バッグにしては安くてお得!使うほどに柔らかくなじんでくる山羊革です。カジュアルな1点としていかがですか?
2月13日(月)いわき訪問―2日目(2月12日)
2012/02/13(Mon) | お店日記 | page top↑
豊間中学体育館 私たちが宿泊した民宿「鈴亀」(先代のお名前が鈴木亀吉さんで私たちの出立を見送ってくださいました)さんの隣、海側に豊間中学校があります。昨日の志賀さんと鈴木さんの母校であり、お二人とも子どもさんたちの時代にPTA会長をされた先輩後輩の間柄でもあります。

豊間中学校の体育館は津波で壁を突き破られ、1階部分はひどい状況でした。当時、志賀さんは砂や備品が散乱した痛ましい姿を見るのがつらく「校舎を清掃しよう」と呼びかけました。するとメール、ブログ、ツイッター、FM放送などで一気に広がり、5日後、中学校には300人が集まりました。見違えるほどきれいになった体育館で奇跡的に生き残ったグランドピアノを中心に、みんなで校歌を歌ったそうです。現在豊間中学校の生徒さんたちは他の中学校を間借りして勉強しています。
仮設住宅でのイベント
さて、民宿「鈴亀」を後にした私たちは、この日は中央台という所にある仮設住宅を訪問しました。ここにはいわきの被災者の 他に原発の避難区域である広野や楢葉の被災者の方たちもおられます。ここでは、パオという障害者支援事務所が被災者支援の拠点になっています。この日は仮設住宅の前に置くお花のプランターを被災者の人たちと一緒に作る作業、そしてそのあとのぎょうざ交流会の準備をしました。私は何人かの女性グループでおにぎりとぎょうざ100人分の準備を手伝いました。

パオのリーダーの方のお話によると、仮設に住む人々が閉じこもり勝ちにならないように、もちつきや手芸や芋煮会などいろ いろなイベントを企画しているそうです。いわき市は自身も被災者でありながら広野や楢葉の被災者を受け入れている、広野や楢葉には原発の補償が東電から下りるけどいわきにはそれはない、など、被災者間の微妙な感情の対立もあるということでした。

また、広野町役場は帰還へ向けて準備を進めていますが、放射能の心配があるのでとくに若い人たちは帰らない人も多いだろうという予測でした。仮設住宅の期限は2年間と決められていますので、その後が大変です。
「ぶらっと」
午後からはJRいわき駅前にあるシャプラニールの支援拠点「ぶらっと」を訪ねました。昨年秋に開設され、被災者の人たちが「ぶらっと」気楽に来て、自分の街の情報を得たり、おしゃべりしたり、相談したりできる場所となっています。常連さんも何人かおられて「ここのおかげで前を向いて生きていられます」と言われていました。

その後、私たち21名は会議室に移動してこの2日間の振り返りをしました。お互いに感想を述べ合った後、2日間の体験をこれから先どうつなげていくかという話もしました。いわきに知り合いもできたし、また鈴亀さんに泊まって遊びに来たいねというのが多くの人たちの気持ちでした。

この2日間、私たちはずいぶん濃い体験をしたと思います。いわきで出会った人たちはほんとうにいい人たちでした。これからもつながっていけたらいいな、と思います。
2月13日(月)いわき訪問―1日目(2月11日)
2012/02/13(Mon) | お店日記 | page top↑
2月11日と12日に福島県いわき市を訪問しました。いつもクラフトリンクのフェアトレード商品でお世話になっているシャプラニール http://www.shaplaneer.org/ さんの「feelいわき」というプログラムです。大阪から私と友人のNさん、東京近郊から19名、合計21名のツアーでした。シャプラニールでは12月に東京へいわきの被災者をお招きしてお話を聴く「listenいわき」を開催しましたが、今回は実際に現地を訪れて「いわきを感じよう」というプログラムです。

津波の後 11日午前中は豊間、薄磯地区を海沿いに歩きました。家の土台だけが残っています。津波で壊れた防波堤の塊が200mぐらい先まで流されています。この日は、志賀さん、鈴木さんというそれぞれの地区出身の方が案内してくださいました。お聞きする当日の様子はどれも胸に迫るものでした。もちろん私たちは想像するしかないのですが。

津波の少ないところだからだれも警戒していなかった(実際防波堤は高さが1mぐらいしかない)。幼稚園も学校も海のすぐそばにあるでしょ。僕は海の方を向いて近所の人としゃべっていたから海の異変に気がついた。なんとも言えない黒茶色で蛇のように盛り上がってやってきた。中学生はみんな逃げたのに一人だけ家族を探しがれきの前でて戻った子が犠牲になった。歩けない年寄りを助けようとした人も逃げられなかったな。防災無線は聞こえなかったよ、聞こえていればねえ。2階に上がっていれば助かったんだが。あそこに2人連れがいるでしょ、あそこに家があったのよ、お母さんは亡くなった。この道を幼稚園児が逃げてこの石段の上の八幡様で夜を明かしたんだよ、寒かったべな。この後は防波堤を高くしてこの辺は緑地帯にするって。ほら、あの山を削って盛り土をしてその上に家を建てる計画らしい。僕らの土地はもう値段はないようなものだから。

テレビでは、あんな時でも日本人は助け合ってすごいと美談になってるでしょ。でも、ほんとうはどろぼうも多かったの。外からやってきてね。業者かな。車で乗り付けてエアコンやらテレビやら。僕らこの辺の者はみんな顔を知ってるから。「あんただれ?」って聞いたら「ここの親戚」って言うの。ここ僕の家なんだけどね。あんな時にどろぼうに遭うとよけい心折れそうだったね。

今はこうして話せるようになったけど2ヶ月ぐらいはだめだったな。遺体捜索もきつかったよ。200体ぐらい確認した。身体は疲れているのに夜眠れない、ご飯はのどを通らないで2ヶ月で10キロ以上痩せたな。それでも捜さねばと思ってみんながんばったよ。だんだん遺体があるところは臭いでわかるようになったよ。 
  がれ花
午後からは、少し北へ移動して久之浜へ行きました。久之浜諏訪神社の宮司さんの息子さん、高木さんが案内してくださいました。26歳の青年、高木さんは震災後「北いわき再生発展プロジェクト」を立ち上げました。まずやったことは「がれきに花を咲かせよう」通称「がれ花プロジェクト」です。取り壊される前に家にお花をペイントしてひと花咲かせてあげよう、というものです。土台の石には今もその名残がありました。高木さんは言います。「神社という仕事上、僕らはここを離れられないのです。震災後よく『神も仏もない』という言葉を耳にしました。僕らは祈ることしかできないのか、と考えた時に、地域の拠点になってみんなで地域を再生していくことを考えたいと思いました」。震災直前に婚約が成立していた高木さんですが、放射能の地域へ嫁を迎えられないということで破談になったそうです。
20120211久が浜
この日はちょうど震災後11ヶ月目にあたりました。津波で亡くなられた鈴木さんのお母さんの月命日の日でもあります。私たちは、2時46分にいわきの海へ向かってみんなで黙祷しました。こんなにきれいな海です。志賀さんが話のなかで何度も言われたのは「どんなに科学が進んでも人間は絶対に自然には勝てないです。私はそのことを今回実感しました」。

夜は私たちが泊まった民宿「鈴亀」さんで志賀さん、鈴木さん、それに何人か地元の方に入ってもらって交流会を行いました。お酒が入ると志賀さんたちはふるさと自慢です。うにと牡蠣はそれは美味いとか、高校生の頃は部活の後、満月の夜の海
で素っ裸で泳いだもんだとか、バレーボールが強かったとか、美空ひばりの『みだれ髪』は塩屋崎灯台の歌だよとか、いつまでも話はつきません。みんなで喋って笑って夜が更けていきました。
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