
少し前に福島県いわき市のSさんと電話でお話した時にこのドキュメンタリー映画のことを教えてもらいました。私たちが訪ねたいわき市の豊間中学校が出てくること、指揮者の小林研一郎(コバケン)さんはいわき市小名浜の出身で今回の震災に大変心を痛め、豊間中学校を訪問して箏曲部の生徒たちと交流し、津波でだめになったお琴やピアノを寄付してくれたことなどを、豊間中学校のPTA会長だったSさんは教えてくれました。
私はいわき市が出てくるということとコバケンさんのファンでもありましたので、どういう映画かもよく知らずにとにかく観に行きました。
実はこの映画は震災前から撮られていました。2010年コバケンさんが率いる「コバケンとその仲間たちオーケストラ」は31名の障がいがある演奏家を交えてコンサートを開催しました。誰もが自分らしく生き生きと暮らせるINCLUSION(インクルージョン)社会を目指す取り組みでした。練習の日々を記録したのは知的障がいのある9人の撮影隊(ビリーブクルー)です。
そんな中、 3.11の東日本大震災が起こりました。いわき市出身のコバケンさんは豊間の浜に立ち言葉を失います。そして自らピアノを弾きながら豊間中学校の生徒に語る言葉は感動的です。
「生きとし生ける全ての生命は、天心、すなわち宇宙の中心で皆、輝いているという真実の物語」(『天心の譜』パンフレットより)。この力強い「天心の譜」の文字も知的障がいを持つ女性の手によるものです。
豊間の海岸、薄磯の海岸、豊間中学校の体育館などが出てくるたびに、いわきを思い出して胸がつまりました。映画の最終場面は1周忌に海岸を照らした「とよま」のキャンドル文字でした。エンドロールのクレジットには豊間のSさんの名前もありました。
この映画、東京では11月30日まで、大阪では11月9日までシネマート系映画館でやっています。ぜひご覧ください。