
映画に先立って、この映画の中にも登場する、南相馬市の青田由幸さん(NPOさぽーとセンターぴあ)のお話がありました。 障がい者の生活介護や就労支援の仕事をされている青田さんのことを、実は私は朝日新聞の連載「プロメテウスの罠」で読んでいました。震災後、個人情報だからと障がい者の名簿提出をしぶる行政に「そんなことをしていたら障がい者が死んでしまう」と食い下がって情報を開示させたのです。現場で今いちばん何が必要かを知っていて実行できる人なのです。
もうひとり大和田みゆきさんという同じく南相馬市からの看護師さんのおお話もありました。大和田さんはシングルマザーで、難病を持ちながら3人の子育て中。3人のうち2人には発達障害があります。子どもたちのことを考えると避難所に居続けることもできず、屋内退避の自宅内で食べ物もなく過ごした日々の過酷さを伝えられました。
映画の中ではさらに多くの障がい者の方たちの苦労が語られました。ふだんでも弱者である障がい者の方たちは災害に遭遇するとさらに弱者となります。しかし青田さんによると災害に遭うとだれもが弱者なのだから「災害弱者」という言葉は不適切で「災害要援護者」というのだそうです。今、日本中の市町村で災害時の「要援護者リスト」が整えられつつあるということです。
青田さんは「みなさんもいつこういう状況になるかわからないのですよ」と強く私たちの当事者意識を喚起されました。ほんとうにその通りだと思います。今回の原発震災は彼の地のことではなく、日本全体の問題。そして次にまたどこで起こるかわからないのです。