
4年前、福島県のいわき市を訪ねた時に「金澤翔子美術館」に連れて行ってもらいました。力強い翔子さんの書に大きな感銘を受けました。お母さんとの二人三脚の歴史も紹介されていました。
とてもよいドキュメンタリー映画でした。まず、何と言っても翔子さんの書の迫力です。専門家が「これは書と言うよりも絵だ」と語っていたように、たとえば「馬」と言う字は馬に見えます。書に疎い私のような人にも直接的に訴えてくる絵のような書なのです。
翔子さんがすてきです。明るくて、のびのびと書いて、恋もして、踊って。
その翔子さんが「翔子ちゃんは書いているときに何を思っているの?」と書家さんに聞かれて、その答えが「お母さま」(ちょっとネタバレでごめんなさい)だった時、私の感動はピークでした。
書家でもあるお母さんは、お連れ合いの急逝のあと、なんとか翔子さんが自立して生きて行けるように、時に厳しく、強く、優しく、翔子さんを育ててこられたのです。
翔子さんの書がすばらしいのは、そのものが素晴らしいのであって、彼女がダウン症という障害を持っているという説明は不要かもしれません。
話は飛びますが、フェアトレードのドリップバッグコーヒーに障害を持った人のデザインが使われていたり、バングラデシュで作られたジュートバッグに障害を持った人の素敵な絵が描かれていたりします。フェアトレードと福祉のコラボと言ってもよいかもしれません。それらの商品を売る時に「これは障害を持っている人たちのデザインで・・・」と説明をしながら「この説明はいらないかな。でも知ってほしいな」といつも迷ってしまうのです。障がい者のデザインだから買ってほしいのではなくて、よいデザインだからお客様が買ってくださるのだと思うからです。
さらに話は飛びますが、先日、私の英語の先生に「障害を持っている人のことを英語でどういえば適切ですか?」と質問しました。disabledは「できない人」みたいだし、handicappedはゴルフのハンディみたいだし、いちばんよいのはphysically/mentally challengedだと教えてもらいました。なるほど。何かができない人ではなくて何かにチャレンジしている人なのですね。
今日の映画を観てそのことがストンと胸に落ちました。