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『故郷の味は海をこえて』
2022/06/11(Sat) | お店日記 | page top↑
故郷の味は海をこえてジャーナリスト安田奈津紀さんによる『故郷の味は海をこえて』(ポプラ社)は、日本で暮らす難民の人たちがそれぞれの故郷の料理を店や家庭で作っている様子を紹介しています。なぜ難民となったのか、そのバックグラウンドも教えてくれます。

表紙はミャンマー出身のタンスエさんとタンタンジャインさん。高田馬場でミャンマー料理店を経営しています。民主化運動に関わって当局から生命を狙われ、国を脱出して以来30年、いちども故郷に帰ることができていません。

この本を読んだ時から、東京へ行ったら高田馬場を訪ねて、この店でミャンマー料理を食べたいと思っていました。

今回チャンスがあったのでひとりでお店を訪ねてみました。「いらっしゃいませ」と日本語で迎えてくれたタンタンジャインさんはひとりキッチンで立ち働いていました。それほど広くない店内(2階にも席があるようですが)には、ミャンマー人青年4人の他にはミャンマー語を勉強中というおじさん連れがお昼を食べていました。壁にはアウンサンスーチーさんの写真が3枚ぐらい貼られていました。

いただいたのはタンバウというチキン煮込みがドン!と乗った炊き込みご飯。美味しかっダンバウ たです。テイクアウトしたお茶の葉サラダはさらに美味しかったです。アジアご飯大好きの人間にとっては、これと白ご飯があればOKというスパイスの効いた豆サラダです。

タンバウをいただいていると、息子さんが帰ってきました。そのあとお父さんのタンスエさんも入ってきました。お父さんとお母さんが話しかける言葉はミャンマー語ですが、息子さんの答えは日本語でした。日本で産まれて日本で育っていますから、言葉も文化も日本語、友達も日本人だと思います。

私は先月大阪で観た『僕の帰る場所』(藤元明緒監督)という映画を思い出しました。日本で暮らすミャンマー難民の家族の物語です。

それにしても人間の運命って国の事情でこうも翻弄されるのかと改めて思いました。大学教員だったタンスエさんは民主化闘争に参加したために生命を狙われ、国外脱出せざるを得なくなり、たまたま頼った知人がいる日本に来てその後30年も住むようになるとは。

『故郷の味は海をこえて』はエスペーロ能勢に置いてあります。漢字にルビが振ってありますので、子どもさんでも読めます。貸出しますので、どうぞ読んでみてください。


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