
先週の土曜日はエスペーロを臨時休業させていただきました。中国山地にある私の故郷三次とそのあと島根に足を伸ばして温泉津(ゆのつ)と石見銀山を訪ねてきました。
温泉津では旅館吉田屋へ泊まるという目的がありました。
吉田屋は2006年に70代の夫婦が廃業寸前だったところを20代の若者たちが引き継いで起業した旅館です。エスペーロにフェアトレード商品を卸してもらっている第3世界ショップの関連プロジェクトです。http://www.lets.gr.jp/yoshidaya/
この日は私たちを含む3組の客を2人の若い女性スタッフがもてなしてくれました。料理長の脇さんは創業以来のスタッフです。学生時代から第3世界ショップでインターンなどをしていましたが、卒業と同時に軽自動車に荷物を積んで大阪から温泉津へやってきたそうです。

脇さんたちスタッフは金土日は吉田屋で働き、ウィークデーは山口県の楠村で農業に精を出します。楠村もまた耕作放棄地であったところを若者たちが茶畑に生まれ変 わらせておいしい無農薬のお茶を生産しています。エネルギーもソーラーで作り出し、井戸を掘り、家を建て、自給の生活をしているのです。http://blog.goo.ne.jp/mottainaiwa
週末だけの営業で旅館がやっていける?と聞くと「住むところがあって食べることができれば大丈夫です。料理をつくることも好きだから」という脇さんです。その言葉どおり、脇さんのお料理はとてもおいしい心づくしでした。近くの港で上がったお刺身と鯛の塩焼き、野菜の和え物、山菜の天ぷら、茶碗蒸しなどで、カンボジアで作っているカシューナッツが和え物に使ってありました。
温泉津であれ楠であれ、地方で自活する生き方を選んだ若者たちをとても頼もしく思いました。「これからは地方の時代だ!」というのがプレスオールタナティブ(第3世界ショップをやっている会社)代表の片岡勝さんの言葉です。都会であくせくお金を稼ぐことではない別の生き方が地方にはあるようです。もちろんよそ者が田舎に溶け込むのにはそれなりの苦労があり「いろいろいじめられた」経験もあるそうです。しかし、その苦労を上回る生きがいを見つけている若者たちにエールを送りたいと思いました。今度は楠クリーン村を訪ねてみたいと思っている私たちです。