
今年の講演はアメリカ人の詩人であり翻訳家であるアーサー・ビナードさんでした。日本人以上に完璧な日本語を話すアーサーさんは日本語で詩を書きます。私がアーサーさんを

私がアーサーさんのお話を聴くのは2度目ですが、視点は鋭く、話はユーモアに満ち、しかし言葉にとことんこだわり、まったく聴く者を退屈させない話のおもしろさがあります。きょうは時間を20分も過ぎてスタッフは気をもみましたが、語りたい話がいくらでも溢れ尽きない感じでした。

著書サイン会で『さがしています』にサインをしてもらいました。サインする間もずっとしゃべり続けるアーサー さんです。私がこの『さがしています』を広島で買ったと話したら、戦後一貫して広島を撮り続けている福島菊次郎という93歳の現役写真家さんの話をしてくださいました。
アーサーさんはじっと詩を書いている詩人ではなく行動する詩人です。講演会はもとより、沖縄や福島や鹿児島の川内原発にも足を運びます。
きょうの講演会では憲法の話も出てきました。憲法9条を守ることが日本が生き残る道という話でした。それで、うちへ帰って『日本国憲法』をもういちど開いてみました。日本国憲法の前文はひじょうに崇高なものですが、私がとくに好きなのは次の部分です。
「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」
フェアトレードが目指している社会も結局こういう世界なんだなと思うのです。